アジア記者クラブ


在京メンバーの福島尚文、石山永一郎、齋藤暢也が再開について協議していますので、お待ちください。




独ソ戦と独ソ不可侵条約
ヒトラーとスターリンは同罪なのか


■日時:2020年2月26日(水)18時45〜20時45分
■受付時間:18時15分〜
■会場:明治大学駿河台キャンパス・研究棟4階 第1会議室/★要予約(定員50名)
(東京都千代田区神田駿河台1-1)
■アクセス:JR中央線・総武線「御茶ノ水」下車/地下鉄・都営線「神保町」か「新御茶ノ水」駅下車
■主催:アジア記者クラブ(APC)
■資料代:1500円/会員1000円/明大生無料(要予約)
■ゲスト:大木毅さん(現代史家)

 今年は第二次世界大戦が連合国の勝利に終わってから75年の区切りの年になる。ロシアは対独戦勝75周年記念式典での過去最大規模の軍事パレードを予告している。ソ連は軍民合わせて2700万人を超える犠牲者を出し、ドイツ軍兵士の死者430万人の9割は独ソ戦での戦死者である。
 なぜナチスドイツは、300万人を超える大軍でソ連に奇襲攻撃を仕掛け、帯同させた処刑部隊による大量虐殺と破壊を繰り広げ、ソ連は当時欧州有数の工業国家であったドイツの軍需生産を上回る兵器を前線に送りドイツ軍を圧倒することができたのか。
 2月定例会は、累計12万部に達している『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)を昨年夏上梓された作家の大木毅さんをゲストにお招きします。当日は、独ソ不可侵条約を締結したヒトラーとスターリンが第二次世界大戦を始めたとする独ソ同罪論が西欧とポーランドで強調されていることを受けて、ヒトラーの政権掌握からポーランド侵攻までの大戦前史と独ソ戦の実態について大木さんに解説していただきます。
 



★予約⇒お名前、所属、会員の有無、Eメール、電話番号を記載の上、配布資料の準備の関係上、必ず2日前までにEメール(apc@cup.com 宛)でお申込み下さい。返信メールでの承認がなかれば参加できませんので注意願います。






2001年以降の定例会

  • 2020年7月〜2022年3月 延期(新型コロナウイルス流行のため)

  • 2020年6月 延期(新型コロナウイルス流行のため)

  • 2020年5月 延期(新型コロナウイルス流行のため)

  • 2020年4月 延期(新型コロナウイルス流行のため)

  • 2020年3月 延期(新型コロナウイルス流行のため)

  • 2020年2月 独ソ戦と独ソ不可侵条約 ヒトラーとスターリンは同罪なのか(大木毅さん/現代史家)

  • 2020年1月 テロ帝国アメリカの実像に迫る(櫻井春彦さん/調査ジャーナリスト)

  • 2019年12月 休会

  • 2019年11月 エクアドル、チリの民衆蜂起とショックドクトリン(所康弘さん/明治大学准教授)

  • 2019年10月 中国建国70年、目覚ましい経済発展と課題(村田忠禧さん/横浜国立大学名誉教授)

  • 2019年9月 昭和天皇は誰に対して何を反省したのか 田島道治宮内庁長官の『拝謁記』を検証する(山田朗さん/明治大学文学部教授)

  • 2019年8月 イラン核合意破綻、戦争は起きうるのか トランプ政権とイスラエルの狙い(田中浩一郎さん/慶応大学教授)

  • 2019年7月 外交大国キューバと米国の経済封鎖若手 外交官が語る直接民主制への挑戦(クラウディオ・モンソン/駐日キューバ大使館・政務担当書記官)

  • 2019年6月 天安門事件30周年 究明はどこまで進んだのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2019年5月 横田空域と日米合同委員会 なぜ首都圏上空を米軍が管制するのか(吉田敏浩さん/ジャーナリスト)

  • 2019年4月 なぜ「働き方改革」がフェイクなのか アベノミクスと表裏一体の企業ファースト(竹信三恵子/労働経済ジャーナリスト)

  • 2019年3月 なぜ北朝鮮は生き残れたのか 朝米非核化交渉の舞台裏で進む経済改革(文聖姫さん/ジャーナリスト・「週刊金曜日」在籍))

  • 2019年2月 北方領土問題は存在していたのか 主権なき2島返還なのか着地点はどこなのか(岩下明裕さん/北海道大学・九州大学教授))

  • 2019年1月 日韓条約と徴用工問題 日韓会談関連外交文書から読み解く(吉澤文寿さん/新潟国際情報大学)

  • 2018年12月 未開催

  • 2018年11月 沖縄報道を考える 深まるジャーナリズムの危機の中で(山田健太さん/専修大学教授)

  • 2018年10月 明治維新は革命だったのか 朝鮮・中国蔑視の源流、征韓論を検証する(吉野誠さん/東海大学名誉教授)

  • 2018年9月 ケチって火炎瓶事件の真相を語る 安倍首相は暴力団に選挙妨害を依頼したのか(山岡俊介さん/ジャーナリスト)

  • 2018年8月 騙されてたまるか 調査報道の裏側で(清水潔さん/日本テレビ報道局)

  • 2018年7月 なぜ拉致問題は解決済みなのか 日本政府の対北圧力一辺倒と政治利用の果て(金志永さん/朝鮮新報社編集局長)

  • 2018年6月 『総書記 遺された声』と日中関係の将来 日中国交45年目の秘史を読み解く(佐藤祐介さん/NHK大阪放送局ディレクター)

  • 2018年5月 なぜ北朝鮮巡る邦字報道が歪むのか. 金正恩政権と朝米首脳会談後の東アジア(李 柄輝/朝鮮大学校准教授)

  • 2018年4月 加計問題「総理のご意向」 報道は幕引きなのか 朝日新聞記者が権力と対峙した1年を語る(西山公隆/朝日新聞記者)

  • 2018年3月 今なぜ瀬長亀次郎なのか 保革を超えて人を惹きつけたカメジロー(佐古忠彦/TBS)

  • 2018年2月 美濃加茂市長事件は終わったのか. 繰り返された犯人視報道と警察・検察の暴走(郷原信郎/弁護士)

  • 2018年1月 朝日新聞はどこに向かうのか 紙面の迷走を検証する(高嶋伸欣/琉球大学名誉教授)

  • 2017年12月 「国家の共謀」 日本はどこへ向かうのか 経済危機と世界のパラダイム転換を 理解できないマスコミの罪(古賀茂明/「改革はするが戦争はしない」フォーラム4代表・元内閣審議官・元経済産業省官僚)

  • 2017年11月 アジア記者クラブ設立25周年記念シンポジウム ジャーナリズムの再生をもとめて(大治浩之輔/元NHK記者・徳山喜雄/立正大学教授、元朝日新聞記者・萩原豊/TBS外信部、「NEWS23」前編集長)

  • 2017年10月 なぜ日米同盟が基軸になるのか. 対米従属の現代史を検証する(吉田敏弘/ジャーナリスト)

  • 2017年9月 昭和天皇の戦争の何が消されたのか 『実録』の隠されたメッセージ (山田朗/明治大学教授)

  • 2017年8月 元TBS記者のレイプ疑惑、何が問題なのか 問われるべき旧態依然の性意識、官邸の関与(太田啓子/弁護士)

  • 2017年7月 なぜ歴史認識が日中の政治対立に発展するのか 日中全面戦争80年の意味を問う(伊香俊哉/都留文科大学教授)

  • 2017年6月 沖縄で中立な報道があるのか 取材現場で写真家が逮捕される時代を問う(島崎ろでぃー/写真家・報道カメラマン)

  • 2017年5月 米朝対立、朝鮮半島危機をどう見るのか 政府の対北政策、邦字報道を検証する (武貞秀士/拓殖大学大学院特任教授)

  • 2017年4月 朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年 赤報隊を生んだ時代状況は変わったのか(樋田毅/朝日新聞社大阪秘書役)

  • 2017年3月 日中戦争・盧溝橋事件から80年 あの戦争は、中国・朝鮮蔑視から始まった(田中宏/一橋大学名誉教授)

  • 2017年2月 国立元市長への個人賠償確定を考える 景観保護が営業妨害なのか(上原公子/元国立市長)

  • 2017年1月 朝日赤報隊のwam「爆破予告」と日本社会 歴史認識の否定が深めるアジアでの孤立(池田恵理子/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館-wam」館長)

  • 2016年12月 本土の記者は沖縄をどう伝えてきたのか 「基地問題」「沖縄差別」に応えて(川端俊一/朝日新聞記者)

  • 2016年11月 尖閣での日中衝突は起こりうるのか 中国脅威論と翼賛報道を検証する(岡田充/共同通信客員論説委員 趙宏偉/法政大学教授 村田忠禧/横浜国立大学名誉教授)

  • 2016年10月 緊迫するスーダン情勢を考える 自衛隊は火中に飛び込むのか(栗本英世さん/大阪大学教授  栗田禎子さん/千葉大学教授)

  • 2016年9月 メディア最大のタブー日米同盟を検証する 辺野古新基地建設と今も生きる核密約(春名幹男さん/早稲田大学客員教授)

  • 2016年8月 政治主導の武器輸出は成功するのか 稲田防衛相就任で何が変わる(望月衣塑子さん/東京新聞社会部記者)

  • 2016年7月 南シナ海領土紛争を多角的に検証する 国連の仲裁は公正なのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2016年6月 沖縄と本土の溝は埋まらないのか 日本人と本土メディアが直視すべきこと(新垣毅さん/琉球新報社・東京支社報道部長)

  • 2016年5月 戦後政治を終わらせることができるのか 参院選を前に考えておくべきこと(白井聡さん/京都精華大学教員)

  • 2016年4月 沖縄の米兵の性暴力は根絶できるか 米兵事件の被害者が実名で語る(キャサリン・ジェーン・フィッシャーさん)

  • 2016年3月 OurPlanet-TVが伝えたフクシマの5年間 非営利メディアだからできること(白石草/OurPlanet-TV代表)

  • 2016年2月 ベトナム戦争から40年後の現実(中野亜里さん/大東文化大学教授)

  • 2016年1月 ハンギョレが見た安倍政権と日韓関係(吉倫亨さん/ハンギョレ・東京特派員)

  • 2015年12月 日本占領期インドネシアの実像に迫る 戦時性暴力被害、開発独裁と日本(倉沢愛子さん/慶応大学名誉教授)

  • 2015年11月 マスメディアは生き残ることができるのか(青島顕さん/毎日新聞社会部記者・金井辰樹さん/東京新聞政治部長・徳山喜雄さん/朝日新聞記事審査室幹事)

  • 2015年10月 メディアは新自由主義に立ち向かえるのか 日本の極右政権を許容する米国の意図(中野晃一さん/立憲デモクラシーの会・上智大学教授)

  • 2015年9月 テレビ朝日は安倍政権の圧力に屈したのか(岩崎貞明さん/元テレビ朝日記者・『放送レポート』編集長)

  • 2015年8月 朝鮮から「戦後70年」を問い直す 「140年戦争」という視座から(愼 蒼宇さん/法政大学准教授)

  • 2015年7月 東アジアの分断と和解 日中韓朝ロの平和と協調から見えてくる潜在力 (羽場久美子さん/東アジア共同体評議会副議長)

  • 2015年6月 日中間の戦争記憶の乖離はなぜ生まれたのか(長井暁さん/ジャーナリスト)

  • 2015年5月 ボリバル革命17年の歩みを語る ベネズエラは米国の脅威ではない(セイコウ・イシカワ閣下/駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使)

  • 2015年4月 習近平政権の強硬外交をどう読むのか 反中ナショナリズムと日中関係の危機(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2015年3月 沖縄戦から70年 県民の犠牲は無駄だったのか 辺野古への新基地建設と安倍政権の暴走(糸数慶子さん/参議院議員・沖縄社会大衆党委員長)

  • 2015年2月 東京新聞は総選挙をどう報じたのか 論点明示報道と新聞の可能性(瀬口晴義さん/社会部長、吉田昌平さん/政治部デスク)


  • アジア記者クラブ(APC)の住所変更(末尾参照)



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    アジア記者クラブ(APC)の目指すもの

    記者会見と記者室の完全開放を求め、全ての取材者に開放された報道センターの設置をアジア記者クラブは提案します。

    既成メディアによる歪曲報道、情報操作、本質を隠す煙幕報道の実態を「アジア記者クラブ通信」(会報)上で明らかにし、批判的に検証します。

    世界のオルタナティブメディアの動向を積極的に紹介し、既成のメインストリームメディアとの違いが相対的に理解できるようにします。読者や視聴者が賢くなるためのメディアリテラシー向上に努めます。

    市民の側に立ったジャーナリストを、企業内、個人、研究者、有志を問わず組織し、連携できるネットワークを構築します。

    オルタナティブな視点をもった民衆のための新しいメインストリームメディアの創出を提案します。





    特集:帝国に奉仕するウイグル・香港報道

    『アジア記者クラブ通信』12月・1月合併(323)号


    ■定例会リポート(2019年9月25日)
    昭和天皇は誰に対して何を反省したのか           
    田島道治宮内庁長官の『拝謁記』を検証する

    山田 朗
    明治大学文学部教授

     この夏の戦争関連報道では、昭和天皇とのやり取りを詳細に記録した初代宮内庁長官・田島道治の『拝謁記』が大きな関心を呼んだ。8月16日にNHKが午後7時のニュースで初報し、17日に「NHKスペシャル」で特集。19日以降、新聞などが取り上げた。『拝謁記』をめぐっては、NHKがスクープ扱いしたのに対し、内容の一部は既出であるとの指摘もなされており、NHK報道への評価はさまざまだが、戦争に対する「悔恨」の念や軍部に対する「下克上」認識、さらには反省の意を公の場で述べることを抑えられたことなどがわかる『拝謁記』の史料価値は大きい。「昭和天皇の戦争『昭和天皇実録』に残されたこと・消されたこと」(岩波書店)など昭和天皇と戦争に関する多数の著作があり、NHKの放送にも協力した明治大学教授の山田朗さんに『拝謁記』を読み解いていただいた。(編集部)


    ■定例会リポート(2019年10月31日)
    中国建国70年、目覚ましい経済発展と課題

    村田忠禧
    横浜国立大学名誉教授

     10月に建国70周年を迎えた中国。同月の中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議では、中国の特色ある社会主義を堅持・整備し、国家の統治体系と統治能力の現代化を推進する方針が決められた。毛沢東による革命から改革開放を経て社会主義市場経済を導入し、飛躍的な経済発展を遂げた中国。一方、米国などを中心に「中国異質論」が盛んに展開されている。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟などによって国際社会は「ステークホルダー」の一員として中国を迎え入れたにもかかわらず、共産党独裁体制や人権状況などは変わらず、価値観が根本的に異なるという論法だ。中国への期待感自体が誤ったものだったとして、こうした異質論が大手を振るに至った。ペンス米副大統領の一連の演説はその象徴とも言える。この70年、中国はどのように歩んできたのか。中国に関する著書が多数あり、見聞の深い横浜国大名誉教授の村田忠禧さんにお話をうかがった。(編集部)


    ■新疆ウイグル自治区
    過激派ウイグル人を操る西側
    マスコミは分離派の宣伝機関
    最終目標は中国の全ての破壊

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト

     「中国はウイグル人を弾圧している」と毎日のように何年にもわたり西側主流メディアが刷り込んできた報道によって読者や視聴者の多くが反中感情を高めてきたはずだ。その一方で、「弾圧」の具体的な現場を取材したり調査した記者は誰もいない。怪しげなNGOが典拠を示さずに発表した出所不明の情報の転電ばかりなのである。本稿は、特定の国や団体をテロ指定する米国を頭目とした西側が水面下ではテロ支援をどのように組織し、新疆ウイグル自治区で宗教を武器に反中国キャンペーンを展開しているのか、その手口と武装工作の実態を告発した調査報道記録である。筆者は、ワシントン、ロンドン、ブリュッセルの各国政府がウイグル人分離主義者をシリアなどの戦場で残忍な死臭ただよう過激派に仕立て上げ、中国国内に戻して拡散・拡大させている暴力と破壊に対して、中国の自己防衛は義務であると説き、真実を語る義務のある世界中の知識人が沈黙を守り、お金や特権のために自分の尊厳を売り渡している現実を非難する。(編
    集部)


    ■新疆ウイグル自治区
    ウイグル人の弾圧報道が覆い隠すテロ活動
    根拠なしニューヨーク・タイムズの「内部資料」

    トニー・カータルッチ
    地政学分析家、記者

     NYT紙による大々的なイスラム教徒のウイグル族弾圧の証拠とされる「内部資料」報道(11月16日)が何の検証も受けずに邦字メディアによって“スクープ”扱いで一斉に転電された。米下院本会議では12月3日、ウイグル人権法が賛成407、反対1で可決された。本稿は、米政府とNYT紙が抑圧的な「大量収容」していると中国を断罪する主張が立証されていないだけでなく、マスメディアを含む米国社会がウイグルの状況を故意に偽って逆にテロ活動を隠蔽していることを告発する。筆者は、新疆ウイグル自治区でのテロ活動のスポンサーが米国であることを明らかにした上で、虚構の「テロとの戦い」で世界中に暴力を拡大させている米政府の片棒を担いでその権益を代弁しているNYT紙にジャーナリズムが存在していないと断を下す。(編集部)


    ■香港暴動
    反中国で目が曇った香港報道
    住民の不満は貧困と住宅難に
    英植民地負の遺産との戦い

    キム・ピーターセン
    『ディシデント・ヴォイス』元共同編集者

     香港騒乱は、今年3月に起案された逃亡犯条例が香港の住民を北京政府の「恣意的思惑」で拘束できるかのようなデマから始まった。2018年2月に台湾で発生した殺人事件をきっかけに、中国大陸、マカオ、台湾の間で刑事犯の引き渡しができなかった手続きを可能にするのが立法趣旨であった。本稿は、香港行政府が6年前に米国のエドワード・スノーデン引き渡し要求を法的手続きの不備を理由に拒んだ事実、その一方で在英エクアドル大使館に亡命中のジュリアン・アサンジの米英による拉致に等しい身柄引き渡しとの矛盾、香港の書店主失踪事件や中国の人権派弁護士逮捕事件を俎上にあげながら、香港を舞台に、完璧な正義や言論の自由、検閲の是非がどのように位置づけられてきたのかを比較検証した論考である。さらに筆者の問題提起は多岐にわたる。CIAと連携しているNEDが抗議運動に資金提供するなどしている介入の無視、中国在住の筆者による西側メディアと西側知識人が言い立てる中国に民主主義がないという言説への反論、香港が抱える問題が民主化でなく貧困と住宅難を放置してきた行政府の不作為にあること、全く統治システムが違う国が100年間にわたり植民地統治した負の遺産との困難な戦いの意味を問い、筆者は香港騒乱を考える上で必要な判断材料を提供する。(編集部)


    ■香港暴動
    中国の主権侵害を香港問題で当然視する西側
    移転の動きで金融ハブの地位も動揺か

    ピーター・ケーニヒ
    地政学分析家、エコノミスト

     11月の香港区議会選挙では「民主主義を擁護する」投票結果が出たにもかかわらず、香港政治ではあまり重要でない区議会議員選で、なぜ18区議会で479議席のうち452議席(71%)を「民主派」が押さえたのか既存メディアからは今もって全く説明がない。本稿は、いかに道理に反する事態が波状的に香港で発生しているのか、それに歯止めをかけるどころか、西側マスコミが中国の主権侵害を当然であるかのように報道する異様な事態が何ひとつ香港のためにならないことを明らかにする。筆者は、区議会選で多額の資金を投入した西側諸国が選挙コンサルティング会社を介在させ、米議会が他国領土を支配するような「香港人権・民主主義法案」を圧倒的多数で可決し、香港が第二の米領プエルトリコになることを星条旗を振って歓迎する「民主派」の言動を愚行だと説く。今回の騒乱による北京政府を不安定化させる米英寡頭支配層による目論見は挫折するだけでなく、騒乱が香港の金融ハブとしての地位を低下させていると筆者は断言する。(編集部)


    ■香港暴動
    香港の抗議行動にうごめく
    ウクライナのネオ・ナチ
    どこが「民主化」なのか

    ベン・ノートン
    ジャーナリスト

     今春から続く香港暴動を平和的な民主化運動だと称賛する日欧米の商業メディアは、ウクライナの合法政権に対する2014年のクーデターも「民主化」だと肯定してきた。本稿は、香港の抗議行動にウクライナの政権転覆屋が公然と参加している証拠を列挙し、香港の反中国活動家が、世界中の右翼的で米国を後ろ盾とする他の運動と密接な同盟関係を構築していることを告発する。筆者は、香港を植民地のごとく扱う独裁政権であるかのように中国を批判する西側政府や商業マスコミが香港暴動を「民主化」と称揚しながら、実際には「反米国家」への政権打倒工作を担っている偽善ぶりを指弾する。(編集部)



    【編集後記】

     322号と前後して先に323号を先にお届けします。12月配信と1月配信の合併号になります。いろいろな事情が重なり発行が前後したことをお詫びします。当面、現在のレイアウトでの提供は今号が最後になります。ご承知おき願います。▼巻頭は9月定例会での山田朗先生の報告です。春先の改元と天皇の代替わり、秋の新天皇の即位の年に提起された『拝謁記』(田島のメモ全体ではなく、NHKが公開した場面のみになるが)をどう読むのか、2年前の9月定例会で『昭和天皇実録』をテーマに山田先生に講演(301号に講演録掲載)していただいたこともあり、連続して昭和天皇の戦争責任について検証したかったので、今回も山田先生から重要な視点を提供いただいたと考えています。▼『拝謁記』の中で昭和天皇は、張作霖爆殺(1928年6月)の責任を田中義一首相(陸軍大将)に負わせなかったことを悔いていますが、田中は1年前の6月に、不拡大方針を唱えた若槻礼次郎首相の退陣を受けて首相に就任し、山東出兵に踏み切った当事者でもあります。この両事件の責任が田中にはあるのは明白なのですが、昭和天皇が言及しているのか、全文公開を待ちたい。鶴見俊輔が1956年に満州事変から始まる日本の「15年戦争」を提起したことは有名ですが、池田浩士京都大学名誉教授は、この山東出兵から日本の敗戦までを「18年戦争」と呼んでいます。▼村田忠禧先生に定例会に登壇いただくのは3回目(13年8月定例会と16年11月定例会)になります。過去は尖閣(釣魚)の領有権問題に関係した内容だったのですが、今回は先生の本来の研究テーマである中国共産党史と重なる中国建国70年をどう見るのかという日本の中国観に関わる核心について報告をお願いしました。とくに既存メディアの基調がそうなのですが、事あるごとに唱える一党独裁批判が的を得ているのか検証しておきたいと考えました。▼9月定例会での村田先生の報告は、323号の特集とも密接に関係してきます。一党独裁制の反対語は複数政党制です。複数政党制の日本の民主主義が成熟しているのかというとお世辞にも程遠いのが実態です。その内実は形式的手続きだけが機能しているだけで、政治への無関心が蔓延し、安倍首相による警察官僚を使った独裁的色彩が強い統治スタイルが続いています。一党独裁批判が日本社会のネガティブな現象や事件を「中国よりマシだよね」ということで免罪にする役割を担っているのではと感じています。▼キム・ピーターセンも訳出稿で「何年も中国に住んでいるが、ここではどこにいても同じように自由を感じる」と書いています。320号の天安門事件特集号で訳出した在中国のラリー・ロマノフも同様の経験を語っています。日本では大学生が街頭で「安倍辞めろ」と叫んだだけで、6~7人の公安に取り囲まれたり、問答無用で聴衆の輪の外に両手足を引っ張られて連れ出されるのが今日の日本の姿です。有名な話ですが、ドイツでは東独出身のメルケル首相が旧東独地域に行けば、「裏切者」「帰れ」などの怒号やヤジが飛ぶことは珍しくありません。叫ぶだけなら言論・表現の自由で、警官が詰め寄ることは全くありません。▼322号で訳出しているのですが、『グレイゾーン』編集長マックス・ブルメンタールが10月25日、半年前に駐米ベネズエラ大使館を不法に占拠したグアイド派に抗議する米国市民の大使館包囲行動を執筆した記事が「単純暴力」に当たるとして、自宅に押し寄せた警官に手足を拘束され、2日間、弁護士や家族とも接見が許されない事件が起きた。未開のジャングルでの出来事ではなく、ワシントンDCでの出来事だ。在米の主流メディアも邦字メディアも、この米国のファシズムには批判はおろか、全く言及していない。根拠なく中国が独裁国家だ、自由がないと連呼することには熱心な既存メディアの二重基準ではないか。▼中国の監視カメラ報道もバイアスの典型ではないか。日本では「防犯カメラ」と言い換えているが、機能は全く同じで、多発する交通違反を取り締まる目的で日本から中国に導入されたことから中国で普及した。確かに監視にも使われているが、それは日本も米国も同じではないか。どこが違うのか。新疆ウイグル自治区の監視カメラが槍玉に上がるが、ヴルチェクやカータルッチの訳稿でも明らかなように、自治区に侵入する武装勢力やテロ活動が活発化しているのだから当然ではないか。「登録されている人間ならば、その人間がどこにいるのか、何時何分にどこを通ったのか、都内ならすぐに分かる」と公安警察から聞いたのは数年前のことだ。▼朝日新聞の国際報道部のツイッターを購読していることもあって見るのだが、ウイグルと香港も含めて国際面に閉口している。「人間は固定観念に囚われやすい」と述べたのはウィンストン・チャーチルですが、事実に基づいて、根拠があるのならば是々非々で中国報道も行っていいと思うのですが、歪みやバイアスが国際報道では全メディア共通する現象で、リベラル知識人や左翼も同様、思い込みと読み間違いが続く。その理由は今号の5本の記事を読んでいただければご理解いただけると思う。▼10月定例会で中央大学の教員から北海道大学の岩谷將教授が中国で拘束されている事件(現在は解放)について、学術交流に影響が出るとの批判的な質問がありました。スパイ容疑であることは中国当局から発表がありましたが、岩谷教授は防衛研究所戦史部の教官が前職。中国の情報機関についての論文もある方で、文学研究者ではない。文書の受け渡し場所を押さえられたということだからマークされていたのだろう。日本人で勘違いする人がいるのですが、外国で日本と同じ感覚で公開情報(文書)が手に入ると思っていると今回のように間違いが起きる可能性が強い。中国側も逮捕した時点で容疑を明かすなど、司法手続きをもっと透明化すべきだ。▼特集の話に戻ると、村田先生も言及しておられることですが、中国の少数民族対策を日本は見倣った方がいい。中国は中国人の存在とは関係なく、国際報道にも力を入れています。日本は事故でも地域情報にしても日本人がいないと全く言及しない。この国際報道の貧困が日本を国際情勢音痴にしている原因ではないか。日本が「18年戦争」を始めた最大の理由は、中国のことを表面的にしか見ず、偏見に凝り固まり理解していなかったからだ。▼それと日本の親や祖父の七光りで政治家になった苦労知らずのボンボンと、勉強と苦労を重ねてきている中国の政治指導者とでは質が違いすぎることだ。次期主席と首相かと呼び声の高い陳敏爾氏や胡春華氏のような質の高い為政者が日本にはいつ登場するのだろうか。(森)


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    特集:惨事便乗型資本主義と新型コロナウイルス

    『アジア記者クラブ通信』3月(325)号

    ■11月定例会リポート(2019年11月29日)
    エクアドル、チリの民衆蜂起とショック・ドクトリン

    所康弘(明治大学商学部教授)


     秋の米大統領選の行方が注目される2020年、南米ではボリビアのやり直し大統領選が5月に実施される。ボリビアでは昨年10月、米国が画策したクーデターで左派のエボ・モラレス大統領が政権の座を追われ、アルゼンチンに亡命。2019年のラテンアメリカは、チリやエクアドル、コロンビアでも新自由主義に反発する激しい民衆の抗議活動が起こるなど、政権が揺るがされた。かつての軍事独裁政権から民主化、新自由主義経済の波及といった流れをたどってきたラテンアメリカに、どのような構造的変化が生じたのか。2007年に刊行されたナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン』を踏まえ、明治大学教授の所康弘さんに、統計もまじえて新自由主義の展開と民衆運動などについてうかがった。(編集部)



    【COVID-19】
    パンデミックで儲けるのは誰だ
    富裕層と大企業の被害を最小限に
    惨事便乗型資本主義の手法とは
    ナオミ・クラインに聞く

    マリー・ソリス
    VICEスタッフライター

     パンデミックの地球上での拡大は止まるところを知らない。医療制度が発達していたはずの西側先進資本主義国がいずれも新型コロナウイルスの感染拡大に医療システムが機能不全に陥り、社会主義国キューバや中国の支援を仰ぐ光景をわれわれは目撃している。本稿は、『ショック・ドクトリン』の筆者であり、歴史が「ショック」(戦争、自然災害、経済危機)とその余波の年代記で、この余波の特徴こそ「惨事便乗型資本主義」だと説くナオミ・クラインへのインタビュー記録である。クラインは、この惨事に便乗した資本主義の利潤行動の核心こそ、進歩的政策の登場を阻むために開発された方策なのだと語る。(編集部)


    【COVID-19】
    なぜ「行動戦略ID2020」が危険なのか
    WTOパンデミック宣言とワクチン接種計画
    狙いは身分証明書の電子化を通じた世界支配

    ピーター・ケーニッヒ
    エコノミスト、地政学アナリスト

     WTOのパンデミック宣言のタイミングは遅かったのか?トランプ大統領はWTOの組織運営が中国寄りだと難癖を付け、欧米諸国では宣言の遅れが感染拡大を招いたとWTOの責任を問う声も少なくない。本稿は、WTOや欧米の政治指導者が「上」からの命令に忠実に働き、欧米の名だたる財団や財閥に加え「ビルダーバーグ会議」(「上」)が後押しする「行動戦略ID2020」の計画に沿ってパンデミック宣言が行われた経緯と世界を単一管理しようと目論む暗黒街の存在を明らかにする。筆者は、パンデミック宣言が3月12日に行われたのはこのタイミングしかなかったからだと説明する。身分証明書の電子化を大義名分にした「計画」の核心はワクチン接種を通じてナノチップを埋め込み世界を管理することに狙いがあるのだと筆者は告発する。(編集部)(編集部)


    【COVID-19】
    ”大スポンサー“とズブズブの関係
    報道されないWHO組織の闇に光を
    巨大製薬会社、ビル・ゲイツ財団…

    ウィリアム・エンダール
    戦略リスクコンサルタント

     各国政府は新型コロナウイルスをめぐり国内で高まる不満を外に向けて発散させ、国内引き締めに使おうとしている。WHOも恰好の標的になった。米中対立、国際機関での台頭が目立つ中国と台湾締め出し活動への反発も絡んで複雑な動きが続く。筆者はワクチン製造などで手ぐすねを引いて待ち構える世界の大手製薬会社とWHO間の金銭をめぐる関係、IT長者から転じて慈善事業家となったビル・ゲイツ氏の活動の背景など、この国際機関の内部腐構造の問題点を、長期的な視野でとらえながら事態改善への道の模索を試みている。(編集部)




    【COVID-19】
    中国にハイブリッド戦争仕掛ける帝国
    北京は米国の脅威への対抗姿勢鮮明に
    コロナで破綻を露呈させた新自由主義

    ペペ・エスコバール
    ジャーナリスト

     新型コロナウイルスへの対応を巡って米国による中国への難癖としか取れない批判が収まらない。パンデミックに至った責任を中国に帰す「武漢ウイルス」批判、「ウイルスの発生をWTOに報告しなかった」、「ウイルスの危険性を隠していた」とポンペオ国務長官が先頭に立って矢継ぎ早に中国非難を繰り返している。本稿は、2月のミュンヘン安全保障会議で王毅外相が公然と米国の脅威に言及したことに着目し、中国が米国のウイルスを巡る反中キャンペーンの意図を嗅ぎ取り、対抗の意思を明確にした中米関係の分岐点だと位置づける。筆者はパンデミックが深まる中で、新自由主義を駆動力としている資本主義の破綻が明らかになっても、完全な世界制覇のために中国に対してハイブリッド戦争を続けたいと思っているグローバルエリートの夢想を糾す。(編集部)



    【COVID-19】
    「本当の病人」は西側社会ではないのか
    コロナを利用した米国と同盟国の強権行使
    緊急課題は人類としての協力再構築

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト

     中国からアジア、ヨーロッパ、アメリカと拡大してきた新型コロナウイルスをめぐり、主要7カ国(G7)は3月25日にテレビ会合の形で外相会議を行った。ポンペオ米国務長官が昨年以来の米中対立の延長線で「武漢ウイルス」の呼称にこだわったため、国際的協力を強く呼び掛けるはずだった共同声明はうまくまとまらなかった。トランプ流のツイート戦術に対抗するように、中国側から米軍が持ち込んだ可能性を示唆する超立堅・外務省副報道局長の書き込みも出て、泥仕合の様相を呈している。その中で欧州共同体(EU)の自由往来原則が崩れるなど一人勝手な移動規制など各国政府の強権化が進み、個人の人権や生活権は無視され続けている。従来から資本主義の行き過ぎと帝国化に警鐘を鳴らしてきた筆者が、感染症の拡大に伴う問題点を哲学的に指摘する。(編集部)



    【COVID-19】
    中国の隣国でコロナウイルス汚染排除は可能か
    北朝鮮の「感染者ゼロ」めぐりさまざまな評価
    新自由主義の侵入拒む自力更生論が足かせに

    バーバラ・クロセット
    独立系国連報道サイト記者

     朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の新型コロナウイルス感染者は本当にゼロなのだろうか?爆発的に感染が拡大した中国と1400キロを超える国境を接し、人モノの往来を一斉に制限したとはいえ、奇跡は可能だったのか。本稿は、長年の経済制裁でパンデミック対策に必要な医薬品や医療機器が欠乏し、全ての住民に決して十分な栄養が行き渡っているとは言えない朝鮮が実際に感染を防いでいたのかに迫った検証記事である。筆者は4月7日に米平和研究所が発表した共同論文『朝鮮:コロナウイルス、ミサイル、外交』を念頭にコロナ危機が朝米対話を促すきっかけになる可能性に言及する。(編集部)




    【編集後記】

     前号に引き続き、新型コロナウイルスの特集を組んだ325号をお届けします。惨事便乗型資本主義とコロナ危機との組み合わせで説明するために11月定例会の所康弘先生の講演録の掲載をこの号に持ってきました。当初は各国で進行する惨事の実例と組み合わせる予定でしたが、最先端医療を誇っていたはずの西側先進国の医療システムの崩壊と巨大製薬企業の暗躍を目の当たりにして構成を変更しました。今号には前号に引き続きラリー・ロマノフの分析記事の掲載を予定していましたが発行直前で原文が削除されたため、完成稿をクロセットの朝鮮に差し替えました。削除理由は筆者からのリクエストであること以上の理由は不明ですが、削除された複数の記事から、復旦大学客員教授である筆者の立場と中国国内のソースの関係ではないかと推測しています。▼所先生の報告は、とくに南米で大規模な民衆反乱と当局の弾圧が続いている中で、反乱がショック・ドクトリンが継続されていることへの怒りの爆発であることに加え、IMFの役割が開発途上国の貧困救済や生活向上とは関係ないどころか、惨事便乗資本主義の擁護にあることを明らかにしています。インフラ整備が住民の生活向上のためではなく、多国籍資本のために鉱山や油田から港までの輸送路の確保に主眼が置かれていることが検証されています。これまでは筆者の写真を使っていましたが、今号では所先生が定例会で触れた引用文献のカバーを使用しました。深く掘り下げて考えたい場合は手に取っていただければと思います。▼2番目の記事は、特集との関係で当初からクラインを考えていました。彼女が直接言及した文章もあったのですが、彼女の著作を読んだことのない方でも惨事便乗型資本主義を理解していただく上で、インタビュー記事の方が分かりやすいと考え訳出しました。ドイツではこの4月、休業中の3大自動車メーカーの従業員数万人には雇用保険(税金)から給与が支払われ、経営者には企業から高額年俸と湾岸首長国の大株主には高額配当が保証されていることへの批判が高まっていると独紙で指摘されていました。「利益は民営化し、損害は国有化する」と。▼3番目のケーニッヒと4番目のエングダールの記事は、WHOに焦点を当てた調査報道記事です。いずれも日本では全く言及されない問題(情報)です。邦字メディアの記者は単純に世界の保健行政を司る純粋な国際中立機関だと思いこんでいるようですが、この記事でWHOが惨事便乗型資本主義と密接不可分な存在であることを理解していただけると思います。この理解を欠くと、WHOと巨大製薬業界との利益相反関係、なぜテドロス事務局長が中国寄りだと米国から非難されるのかも分からなくなりますし、ビル・ゲイツが純粋な慈善事業家や篤志家になってしまいます。▼324号で新型コロナウイルスの米国製造説の特集を組んだことに対して「陰謀論に与する」との批判があったので補足説明しておきます。新型コロナウイルスの中国起源説と米国製造説の対立が2月下旬から中米間で始まりました。すでにこの議論は独立メディアでは検証されており、その中から4本を訳出掲載しました。いずれも調査報道記事です。▼一般に伝えられたコウモリや珍獣食材説はお笑いネタに近い扱いでしたが、米国製造説は731部隊に連なる米国の生物化学(細菌)兵器開発史とも関係してくる問題なのです。CIAなど諜報機関が深く関与している闇に当たる部分です。日本語情報が皆無な中で、両方の説を検証する上でも、パンデミックに発展する可能性が2月段階であったことを念頭におけば、必要不可欠の基本情報だと考えました。記者職で調査報道を意識するのであれば、とくに検証のプロセスと着眼点が非常に参考になったはずです。今号でも、ケーニッヒ、エングダール、エスコバールが言及しています。矢吹晋先生が『週刊金曜日』で中国国内起源説を展開しておられましたが、それならば世界85カ国に感染拡大し、イタリアなど特定の国ごとでウイルスの強弱や特徴が違うことの説明ができないのです。▼反中パラノイア状態の日欧米主流メディアの中国報道にヴルチェクの論理性の欠片でもあればと考え、今号でも訳出しました。妄想や憶測ではなく、事実関係を論理的に正確に把握できないと調査報道はできないはずです。ヴルチェクは現実の中国を正確に描写しているので、中国理解も深まると認識しています。▼クロセットの論考は、朝鮮のパンデミックに関する情報が極端に少ない中で最もバランスの取れたテキストでした。朝鮮に対する「挑発」を連呼する報道は相変わらず救いようがないのですが、日本の報道関係者は朝鮮の政治システムを見下しているので、それが先入観となって論理的で客観的な分析を阻んでいることに気づかないのです。▼新型コロナウイルスの国内報道に目を向ければ、新聞紙面やテレビ映像が専門家会議や官僚原稿を棒読みするだけの安倍首相や官房長官の無能を質せないどころか、コメントを垂れ流すだけの発表原稿の羅列で、4カ月が経過しても報道が伝送管状態のままであることは何を意味するのか。▼記者が専門家会議の目測の誤りを糊塗する説明の二転三転すら指摘できない。記者が途方に暮れている観すらあります。決定的に見過ごしてはならないことは、邦字メディア各社の記者が国内報道と国際報道を区分けしている弊害を露呈させていることです。▼外の世界の動きが自媒体の陳腐な転電ニュース以外、記者には全く見えていないので、視点が国内しか向かず画一的かつ表層的で、心情的アナロジーに極端に偏り、国内の発生モノを延々と追いかけるだけになってしまっているからです。▼中国とイタリアで成果を上げているキューバの抗ウイルス薬インターフェロンの輸入希望国は50カ国を超えていますが、邦字メディアに登場するのは副作用症例が指摘されるアビガンとレムデシビルだけです。キューバの支援を受けているイタリアの報道では、「資本主義は余ったものを提供するが、社会主義は必要なものを提供する」と書かれていました。正にいま日本では、ジャーナリズムが生き残れるか否かの分岐点に立ち会っているのではないでしょうか。▼課題山積で触れるべきテーマや地域は数多あるのですが、誌面の制約でここで筆をおきます。定例会も休止中ですが、新任のキューバ大使から1月に講演してもいいよという話があったので、どこかで実現できればと思います。(森)

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    特集:新型コロナウイルスと米国製造説

    『アジア記者クラブ通信』2月(324)号

    ■COVID-19
    ウイルスは恐慌を招くのか
    中国の失速が世界に波及
    すでに米国経済は崩壊寸前

    ウィリアム・エングダール
    戦略リスクコンサルタント


     悪いことは重なるものだ。コロナウイルスの感染拡大は、トランプ大統領の「米国のウイルス対策は万全だ」という大統領選向けの口上とは裏腹に深刻な兆候を幾つも示している。2月下旬からNYダウの大幅な乱高下が続き、このコロナウイルスの感染拡大による株式市場の混乱が12年前のリーマンショックを上回る株価暴落を引き起こすのではないかと市場関係者を戦々恐々とさせている。本稿は、ウイルスの感染拡大前から米国が最大の産出量を誇っていたシェール石油最大の顧客である中国への輸出が下降の一途をたどっており、商品の出荷減少が物流の大動脈であるトラック業者を直撃して大型倒産も発生させ、天候不順と中国市場への輸出停滞が米国農業に致命的打撃を与えつつある現状を踏まえ、連邦準備銀行によって維持されてきた米国の株価の異常な高騰が霜柱の上に立っていたことを改めて明らかにする。筆者は、2003年のSARSの感染拡大時とは比較にならないくらいグローバル化された中国経済が世界各国の経済と深く結びついているいま、コロナウイルスによって世界大恐慌が引き起された場合の衝撃の大きさに無頓着な金融市場を指弾する。(編集部)




    ■COVID-19
    生物細菌兵器説を追う
    中国への宣戦布告なき戦争
    伝染病研究を表看板に

    ヴィクトル・ミヒン
    ロシア自然科学アカデミー


     ニューデリーのジャワハルラール・ネルー大学のアーナンド・ランガーナサン分子生物学教授らによる中国発の新型コロナウイルスが生物細菌兵器として考案され使用された可能性に言及する研究発表は大きな真贋論争を引き起こしている。本稿は、この論争を切り口にして、CIS・独立国家共同体(旧ソ連邦加盟国)内で行われている米国の伝染病研究を名目にした生物細菌兵器部門の創設を目論む米国の諸政策とベトナム戦争での生物化学兵器を使用との関連性にも踏み込みながら、生物細菌兵器として新型コロナウイルスが中国を標的に開発されたとするロシアの立場を反映した論考になっている。筆者は、スクリパリ事件を引用しながら「ロシアなら大いにありそう」という戦術が中国に適用されているとの説に立つ。(編集部)



    ■COVID-19
    コロナウイルスは米国製か?
    知られざる細菌戦争の舞台裏
    生物兵器の対中投入の目的は

    ピーター・ケーニッヒ
    エコノミスト、地政学アナリスト


     2019年12月に中国湖北省武漢市で発生が報告された新型コロナウイルス (COVID-19)は3月13日、世界保健機関(WHO)によってパンデミック宣 言が表明された。本稿はマスメディアによって、COVID-19が中国で動物を 介して感染拡大したとの推測からその責任が中国にあるとの批判が展開され ていることに対して全面反論する内容になっている。COVID-19が米国製で あるか否か感染源を巡って、ポンぺオ国務長官と中国外務省との論戦に発展 しているのは周知の通りである。筆者は、米中貿易戦争と並行して細菌戦争 が2018年の鳥・豚インフルエンザの感染拡大からすでに始まっており、今回 の新型コロナウイルスの感染拡大も昨年10月の武漢軍事五輪でウイルスが持 ち込まれたことで発生したと説く。米国は対中戦争に至る前に可能な限り多くの経済的打撃を中国に与え、中国の経済 成長によりドルから人民元への基軸通貨の転換が進むことを阻止したいからだと筆者は米国の狙いを説明する。(編集部)



    ■COVID-19
    ウイルスは米国製か中国製か
    中国の研究者は起源を特定
    台湾の専門家は米国産を示唆

    ラリー・ロマノフ
    復旦大学客員教授


     新型コロナウイルスの起源を巡って3月上旬から米中間でつばぜり合いが続い ている。ポンぺオ国務長官が「武漢ウイルス」、トランプ大統領が「中国ウイルス」 との呼称を用いて中国を挑発し、オブライエン大統領補佐官も「中国が初期対応 の段階で情報を隠蔽して世界の対応が遅れた」との非難を展開したことを受けて、 中国外務省の趙立堅副報道局長がツイートで「米軍が疫病を武漢に持ち込んだ」 と中国語と英語で発信したからだ。本稿は、この非難の応酬の前に、既に中国 の専門家が4大陸12か国から約100のゲノムサンプルを集めて分析した結果か ら、新型コロナウイルスの感染が海産物や動物からではなく、ウイルスの起源と 伝播ルートが海外からであることを突き止めていたことを明らかにする。筆者は、 台湾最高のウイルス学者が台湾で感染しているウイルスの株の特徴から米国にし か存在しないタイプであることを掴んでいることを踏まえ、既存メディアが決して触れることのない米国による「ウイルス」 を利用した中国叩きの核心に迫る。(編集部)



    ■日本
    反中でさえあれば米と全面協力する日本
    日常を支配するワシントンへのおもねり
    再教育プログラムが民衆の怒りを鎮静化

    アンドレ・ヴルチェク
    調査ジャーナリスト


     パンデミックが拡大する中で4月の習近平国家主席による12年ぶりの国 賓来日も延期が発表された。昨年のG20以来、中国政府は「中日関係は正 常化した」との見解を繰り返し、新型コロナウイルスが感染拡大する中でも両 国の協力体制が進展していることを強調することで、両国関係の好転を演出し てきた。ところが日本側では、新聞テレビは相変わらず中国の「海洋進出」を 脅威と捉え、政権運営のみならず、新型コロナウイルス感染拡大阻止への強 制措置ですら「強権的だ」として、反中報道を繰り返してきた。本稿は、中国 と朝鮮への無反省がなぜ日本でまかり通るのか、ワシントンの意向に日本は なぜ徹底して従順に従うのか、代替ニュースが存在しないために日本人の世界 認識がいかに歪んでいるのか、反中プロパガンダが溢れる日本をつぶさに観察してきたジャーナリストによる立板解説である。筆者は、日本を地球上で唯 一の植民地支配者のイデオロギーを賛美している国だと断じている。(編集部)

    ■フィリピン
    中国包囲の「逆ドミノ現象」を懸念する米国
    フィリピンの訪問軍地位協定の破棄で

    フィニアン・カニンガム 
    ジャーナリスト


     ややもすれば突拍子もない気まぐれ発言だと欧米や日本の大手メディアか らたたかれることが多いフィリピンのドゥテルテ大統領だが、米国嫌いと対中 関係強化姿勢を就任以来貫いている。2月には訪問軍地位協定の破棄手続き を米国に通告した。フィリピンは19世紀末に米西戦争でスペインから統治権を得た米国の統治下に入り、第2次大戦中は日本が占領、戦後再度の米統治 時代を経て1946年に独立した。朝鮮戦争中の1951年に米国と相互防衛条 約を締結、対共産圏封じ込め網の一翼を担った(日米安保条約
    51年、米韓 相互防衛条約53年、米華相互防衛条約54年も同列)。この下に、日韓の 場合の対米地位協定に当たる軍訪問軍地位協定、ベトナム戦争が終わり米軍 が撤退した後の2014年4月に結ばれた比5基地に米軍の兵舎や武器を維 持できる防衛強化協定を米国と結んでいる。軍訪問地位協定は6カ月後に正 式破棄となるが、フィリピンのパネロ大統領報道官は比米相互防衛条約、防衛協力強化協定も終結することになるだろうと言明した。比米相互防衛条約 は、両国の領域だけでなく「太平洋上の管理下の島、太平洋地域における軍艦、公船もしくは航空機に対する武力攻撃に抵抗する」と規定しているだけに、南シナ海での米中対立を激化させる要因と なる可能性がある。日本の沖縄、米領グアム、オ―ストラリアのダーウィンも、有事の際の南シナ海への米軍派遣と兵 站中継地としての役割変更を迫られる場合もあろう。(編集部)





    【編集後記】

     3月に入ってから中米間で本格化することになる新型コロナウイルスが果たして人為的に製造されたものなのか、製造元が中国なのか米国なのかを検証する特集を2月末の時点でまとめました。巻頭に予定していた11月定例会リポート(所康弘さんの報告)は、次号でショックドクトリンと新型コロナウイルスの特集を組む関係で325号に回しました。3月定例会を延期した関係で回数調整する必要もありご理解願います。▼新聞テレビ報道は発生モノ扱いしているせいか現象の後追いになり、中国人の「ゲテモノ食い」や中国政府の「強硬」措置に執着する余り、2003年に中国で発症した重症急性呼吸器症候群(SARS)や2年前の豚・鳥ウイルス流行との違いや今回の新型コロナウイルスの特性などが邦字報道では一向に判然としませんでした。9年前の3・11福島原発事故の報道と同じで、報道現場は何が起きているのか把握できず、戸惑っていたのではないかと推察しています。読者、視聴者の方も相当のストレスが溜まったのではないでしょうか。▼正月早々、イラクで米軍によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害事件が発生したこともあり、米イ開戦に発展するのかに世界の耳目が注がれていました。同司令官が中東でのテロ活動の中心人物であるかのような流言がリベラルの間から既存メディアまで駆け巡る中で、そうした俗説・情報操作を正す意味でも、8月定例会リポートが田中浩一郎さんのイラン情勢報告なので、未発行の322号でのイラン特集を当初は構想していました。その一方で春節を目前に控え、武漢周辺で発生したウイルス感染が一過性なのかパンデミック(世界的流行)に発展するのか、中国の対応も含めて、対岸の火事にしてはいけないと考え注視していました。▼2月に入り独立メディアの報道に目を通しながら、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化しパンデミックに発展する可能性があると判断しました。本通信で新型コロナウイルスの特集を組む必要性に迫る情勢でした。(1)世界経済に与える影響、(2)新型コロナウイルスが自然発生したウイルスなのか人為的に製造されたウイルスなのか、(3)後者ならば誰が何のために製造したのか、(4)新型コロナウイルスは海外から中国に持ち込まれたのか、(5)新型コロナウイルスは細菌兵器なのか、(6)抗ウイルス薬の開発も含めてパンデミック封じ込めには多国間協力が必要な上に投入する費用が戦費並みに必要になることを明らかにする、ことを検証するために324号の内容を大幅に変更し最終的に4本の記事を選択しました。▼米・EU経済の外部調達(アウトソーシング)先である中国経済が感染封鎖下で物流が止まったことで、2月下旬からニューヨーク証券取引所で株価大暴落が続き、今回のコロナショックは2008年のリーマンショックを上回る打撃を世界経済に与えるのではないかという警戒感が市場でも高まりました。それでは直前まで「米国経済は経済は好調」だとの立場を繰り返し表明してきた金融エコノミストや日本経済新聞はどう説明するのかとなるはずです。▼エングダールは一貫して米国経済が大きく毀損していることを指摘し続けてきたエコノミストです。ウォールストリートとは対極の立場にあるリスクマネージャーでもあります。既存メディアの誘導基調が溢れる報道の中で、米国経済がどのように破壊されているのか、中米経済の相互依存関係、17年前にSARSが感染爆発した際とは比べ物にならないくらいグローバル化した中国経済がパンデミックで失速した場合の世界経済に与えるマイナス影響を把握する上で、エングダールの分析は出色だと考えています。▼ヴィクトル・ミヒンの分析は、中露に対する米国の細菌戦だというロシアの立場を反映しています。ロシアが武漢で始まった新型コロナウイルスの感染拡大をどう見ているのかを知っておくことは重要です。隙がなくても入り込んで来る米国が中央アジアの旧ソ連邦加盟国で何をしているのか、核廃棄物貯蔵所や生物細菌兵器研究施設を多数設置している現状についても知ることができます。▼ピーター・ケーニッヒは、ドルから人民元への基軸通貨転換を阻止するために、昨年10月の武漢軍事五輪の際に米兵が中国にウイルスを持ち込んだという細菌戦争説を取っているだけでなく、2年前の鳥・豚インフルエンザの感染拡大からそれがすでに始まっていたのだと説く内容は検証に値すると判断しました。ラリー・ロマノフは2月末段階で中国と台湾の専門家がゲノム解析を行いウイルスの国外からの持ち込みを確認していたことを踏まえて米国起源説を検証した記事です。ともに調査報道を実践しており、一読に値すると考えました。▼アンドレ・ヴルチェクの記事は、正月から日本に滞在して取材した内容も踏まえて執筆され、日本の反中イデオロギーが指導層とマスメディアがワシントンに従属する関係の中で出来している現状について分析した優れた論考です。「中日関係は正常化した」という中国政府の善意とは裏腹に安倍政権内の閣僚と官僚、邦字メディアを覆い尽くす反中イデオロギーが報道や出版に溢れていることに気づいている方も少なくないと思います。日本で反中ヘイトがなくならない理由も理解できるのではないでしょうか。▼フィリピンの訪問軍地位協定をドゥテルテ政権が破棄する邦字報道は一過性に終わっているのですが、パネロ大統領報道官は比米相互防衛条約の破棄にもCNNのインタビューでは言及しており、冒頭のリードでも反映させました。昨年1月の朝米ハノイ会談の帰路ポンぺオ国務長官がマニラに立ち寄った際にも両国間の軍事協定継続問題でのつばぜり合いがあったようで、この問題は、フィリピンが中国との包括的な協力関係を強化する中で領有権紛争も話し合いで解決する方向で同意したことを示すと同時に、日米安保条約と地位協定が冷戦終結から30年が経過しても現状維持でいいのかという足元の現実問題を日本の有権者に突きつけることになりました。結縄にとっては、在沖米軍基地が第1列島線の内側に取り残されることになり、辺野古新基地問題でも新たな反論材料になるはずだ。(森)



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    アジア記者クラブについて

    日ごろ会えない人や話す機会のない人をゲストに迎え、話に耳を傾け、立場や見解は違っても当事者から意見を聞き、質疑応答する。終了後の名刺交換会ではゲストも交えて議論を深め、ネットワークを構築し、時には難題を抱えている会員の手助けもする。今では、小さいながら事務所を維持し、運営委員会と事務局がAPCの運営に当っています。会員数は、2016年12月1日現在で271名を数え、日本最大の「記者クラブ」に成長した。毎月、定例会リポートを掲載した会報紙「アジア記者クラブ通信」も発行し、これだけ読むためにAPCに参加した人がいるほど好評です。

    日本独特の記者クラブ制度の閉鎖性に異議を唱え、開かれた市民のためのジャーナリズムを創出しようとフリーランサーや市民が議論を始めたのがアジア記者クラブの始まりでした。最初は5〜6人の集まりで、情報を集めたい、真実を知りたいという人が気軽に集まり、肩書きや所属組織とは関係なく議論できる場として猫の額ほどの事務所を間借りしたのが1992年11月。昼間は官民で仕事に就く人たちから、生活苦と闘いながらジャーナリズム活動に希望を見い出していたフリーランサーたちの議論に、企業内ジャーナリストたちも参加するようになった。そこで、毎月1回、勉強と議論の場を持つことになった。それが今日まで毎月開催している定例会(1月で248回)です。

    事実を深く掘り下げ、メディアの情報操作や嘘を監視すると同時に、孤立している企業内記者は支援するという姿勢を維持してきた。ジャーナリズムと平和と人権、第三世界に関心のある方は、どなたでも参加できる本来あるべき記者クラブの原型は、こうして形作られてきました。そうした人たちがいつでも集い、明るく闊達に議論を交わす場はいつでも開かれています。もちろん、議論に耳を傾けているだけの人でも参加できるので、ご安心を。好奇心と議論好きの皆さん、アジア記者クラ660加して、真実を追いかけてみませんか。

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